せめて彼に裁かれよう。 彼女の愛した彼に。 でも、この裁きは彼の為じゃない。 「やろうか」 …ただ、僕が救われる為だけの。 * * * 君が僕に憎悪だけ抱けるように。 僕は君に冷徹な刃を向けよう。 そうして僕を憎んで。 残酷に殺してくれればそれでいい。 君も憎い僕を殺せて。 君から大切な物を奪った、僕を殺せて。 少しは満たされる事だろう。 でも、これだけは言わせて。 「…お姉さん。」 君には知っていて欲しいんだ。 「彼女を愛していた…。」 この気持ちが、偽りでは無かった事を。 「これは本当だ…。」 唯一愛した彼女を失って。 僕も悲しかったんだ。 辛かったんだ。 だから、彼女を殺してしまった僕なんて。 死んでしまえばいいと。 そう、思っていたよ。 落ちる 躯 視界には 一面に拡がる シェルタリング・スカイ …君に、会いたい… この空はキライ 君がくれたあの空に会いたい 何かが僕の身体を貫いて 視界が一気に真っ赤に染まった 遠くなる意識の中 瞼の裏に浮かんだ あの青い空と そして… 一筋の涙が こぼれて そして 世界は終結した |
| 【デラシネ】…déraciné フランス語で「根無し草・祖国を追われた人」という意味。 |
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